中国向けの日本酒の輸出について、記載していこうと思います。
そもそも中国向けの食品の輸出は2022年1月より、
輸入食品海外製造企業登録管理規定という法律に基づき、中国へ食品を輸出しようとする企業は「企業」とその「商品」の登録を中国政府に向けてしなければならなくなりました。
さらに、原産地証明書(中国政府が指定する、福島原発事故による産地の限定)、それに合わせたインボイスの作成(原産地証明書と一言一句間違えてはいけないようです)
それと、上記の企業登録の矛盾がないか、中国語ラベルの確認、成分表、製造工程表…etc
やらなければならない事は盛りだくさんです。
上記書類のほとんどは中国側の輸入通関に使われるものです。
比べて日本の輸出時に必要なのはいつものインボイスとパッキングリスト…場合によってはお酒を輸出する許可を持っているかの確認…と輸出通関時の必要書類は比較的少ない印象。
通関時に感じる事は、輸出はそこまで難易度は高くないが(例外は勿論あります)、輸入はやはり、国民の生活を守る為にどの国であっても、書類、関税の支払い、他法令、難易度は当たり前ですが、高いように感じます。
さて今回は中国の上海向けの輸出だったのですが、皆さんご存知のように4月~5月にかけて上海は新型コロナウイルスの影響を受けロックダウンとなり、青島に向けての向け地変更となりました。
いつものように弊社で梱包をし、保税蔵置場で輸出許可申請を行いました。今回の輸出者は初めての貿易でしたので、当然のように税関の検査となります。
一つ一つ箱を開けて申告内容と商品に矛盾がないかを確認…やましい事が無くても緊張する瞬間です。
水島港の特徴として工業港であるという事で、あまり日本酒を輸出する案件はないようで、税関の方も経験上初めてとの事でした。
本来は水島港から出荷できればいいのですが、お酒類は度数によっては船社が取扱出来ない場合があります。
今回はもれなくその度数に引っ掛かりましたので、取扱をしてくれる船社がいる神戸まで保税運送を行いました。
さて何気なく今回関わりました中国という国ですが、お酒の取り扱いだけに限っても中国はここ近年で日本酒輸出の最大の相手国となりました。
お酒だけに限らず輸出全体を見てみると、我が国の貿易相手国輸出額の約20%を中国が占めているという状態です。
■2020年
1位:中国 / 150,820億円 (22.1%)
2位:アメリカ / 126,108億円 (18.4%)
3位:韓国 / 47,665億円 (7.0%)
4位:台湾 / 47,391億円 (6.9%)
5位:香港 / 34,146億円 (5.0%)
6位:タイ / 27,226億円 (4.0%)
7位:シンガポール / 18,876億円 (2.8%)
8位:ドイツ / 18,752億円 (2.7%)
9位:ベトナム / 18,258億円 (2.7%)
10位:マレーシア / 13,435億円 (2.0%)
現在ウクライナ情勢の為、ロシアとは貿易の制限をせざるを得なく、世界的に物の値段が上がり続け、企業は勿論、国民の生活も苦しい状態が続いております。
もしもこの中国との貿易に影響があったのなら、何が起きるのかは規模が大きすぎて想像も出来ません。
今何かと話題の中国ですが、私たちの生活とは切っても切れない国となっております。国際情勢が緊迫している昨今ですが、良い方向に世界が進んでいくよう願うばかりであります。